山林の資源として、特に大切なものの1つは水、水源といえるでしょう。
日本は豊富な水に恵まれた国ですが、それは世界有数の多雨地域であり、国土のほとんどを山林に覆われているからです。
山林は『緑のダム』
山林の土壌は雨水を浸透させる能力が高く、むき出しの地面の3倍、草地の2倍になります。
日本の山林はこうして浸透した水を貯めておく保水性に優れ、全雨量の約35%を保水し、1時間に150mmの降雨量も吸収できるのです。
近年、台風や集中豪雨などが激化し水害をともなうことも多い中、山林の保水機能が再注目されています。
水の浄化作用に優れている
また、日本の山林は水質の浄化機能にも優れています。
雨水は山林の土壌に浸透しゆっくりと最後は渓流に流出しますが、その間に浄化され、土壌中のミネラル成分などが溶け出し、おいしい水になると考えられています。
山林が作り出した豊かな養分を含んだ水は川や海の生態系を形成します。
このことから、日本の山林はそれ自体が水源だといえます。
そして、山林は国全体の自然を育み、生態系を支えるものです。
ですから、水資源を健全に守っていくには、山林の存在は欠かせません。
こうした豊かな水を生み出してくれる山林は世界でも大変まれなものです。
外国資本が欲しがる日本の山林
近年、外国資本が水資源をねらって日本の山林を購入しようとしていると話題になりました。
日本人は水は無尽蔵にタダ同然で手に入ると思いがちですが、水不足は人類にとって最も深刻な問題であり、世界には大きな水需要が存在するのです。
そうしたことを考えると、日本は大変な資源国だといえます。
このような背景から、外国資本が日本の山林に目をつけるのも不思議ではありません。
海外の民間の水ビジネス市場規模は約7.5兆円ですが、このうち日本企業によるシェアはわずか1.3%に過ぎません。
今後も世界の人口は増え続け、新興国の工業化も進むことで、飲料水や工業用水のニーズはますます高まり水ビジネスの市場規模も膨らむ一方でしょう。
世界でも国内でも、日本には水ビジネスの大きな可能性があるといえます。
しかし、その一方で、日本の水源はじゅうぶんに守られ、活用されているとはいいがたいのです。
飲料メーカーなどが自ら水源を確保し、CSRの1つとして水源と山林の保護活動を広げたり、助成を行うケースも増えています。
大切な水を育むのは山林です。私たち自身で山林を守り、活用していきたいものです。