日本の国土面積の3分の2は山林です。
そして、その40%は人工林つまり林業による植林です。林業はかつて国の主力産業の1つとして戦後復興期の住宅需要を支えました。
日本の林業の動向
日本の林業は、安い輸入材に押され、高度成長期をピークに衰退、低迷を続けるようになりました。
2000年を過ぎた頃から、伐採しても採算がとれないため放置され荒廃しつつある山林が増えています。
こうしたことから、林業は不況産業、また山林を所有していても何のメリットもないといった認識が広がるようになりました。
ところが、ここ10年ほどの間で、山林をめぐる状況が変わりつつあります。
国土交通省の統計によると、林地価格が下落を続ける一方で、2006年から山林売買の取り引き件数が急速に増えているのです。
世界の水不足を背景にした水源の確保が理由として推測されます。
日本の山林は水ビジネスに発展
これまで、日本では山林の資源といえば木材というイメージがありましたが、このような外資の動きを見るだけでも、山林には木材以外にも価値があることがわかります。
まず、世界でも有数の水資源があります。それは山林があってこそ。
日本の山林は雨水を吸収・保水し浄化する機能が非常に高いのです。
世界で水需要が高まる中、水ビジネスには大きな可能性があります。
また、山林は様々な野生の動植物が生息する場所であり、キノコや薬草が収穫できる山もあります。
元々、山林はキャンプなどレクリエーションの場としても利用されていましたが、環境意識の高まりから自然の生態系を守りながら観光や保養に活用する事例も増えてきました。
さらに、山林には雨水を吸収することで水害を防いだり、豊かな緑で大気を浄化し温暖化を防ぐ働きもあります。
山林は存在するだけで、人間をはじめ全ての動植物にとって重要な機能を果たしてくれているのです。
日本の山林資源の大切さ
ここにきて林業復活の兆しも見え始めています。
輸入材の需給動向により、国産材が見直されるようになってきました。
これまで価値がないとされてきた間伐材や端材なども木質バイオマスの原料として使える可能性が高まっています。
日本は資源に乏しい国といわれてきましたが、実は、国土の多くを占める山林は豊かな自然資源が存在するのです。
世界では急速に森林面積が減少し、砂漠化が進んでいます。
日本の山林は人類にとって貴重な資産といえるのです。