これまで日本では、山林の資源といえば主に木材を中心に考えられていました。
日本は資源のない国といわれています。しかし、国土の3分の2を覆う山林は自然の資源の宝庫なのです。
山林の資源について
ここ数年、環境や再生可能エネルギーへの関心の高まりもあり、木材以外の資源も近年注目されるようになってきました。
では、木材の他に日本の山林にはどんな資源があるかみていきましょう。
水
日本は世界でも有数の水の豊かな国です。
日本の山林は雨水を吸収し浄化する機能に優れていることから、山林そのものが水源であるといえます。
また、山林の降った雨を吸収する保水機能は、山崩れや洪水などの自然災害を防ぐことから「緑のダム」とも呼ばれています。
こうした山林の役割は間接的な資産でもあり、非常に重要なものです。
間伐材、雑木、廃材
これまで木材として使えなかった間伐材や木材工場から排出される残・廃材が木質バイオマス発電の燃料となる木質ペレットの原材料として注目されています。
野生の動植物
木材になる木以外の植物でキノコや山菜、薬草などが採れる山林もあります。
また、山林は貴重な野生の動植物の生息の場であり、生態系を形成しています。
観光、保養
昔から、山林キャンプ場やフィールドアスレチックなど観光、レクリエーションの場として使われてきました。
環境意識の高まりから、山林が育む生態系が保全の対象として注目されるようになり、里山やビオトープを整備し公園などとして活用する例も増えています。
大気の浄化作用
木々が生い茂る山林には、大気を浄化するフィルターの働きがあります。
また、山林は二酸化炭素を吸収し酸素をはき出しているため、山林が減ると二酸化炭素の排出が増え温暖化が進んでしまいます。
山林には、
- そこにある資源を採取し何かに使うといった直接的な利用価値
- 山林がある・存在するだけで、直接利用しなくても水害や温暖化を緩和・防止したり、大気を浄化するなどの存在価値
この2つがあります。
こうした山林の価値を明確に数値化するのはむずかしいものですが、近年、多くの人がその価値を認識するようになってきています。