近年、山林売買が増えているといわれます。その原因のひとつは、相続税捻出のためです。
しかし、これだけの理由であれば近年に限った話ではありません。
ではそれ以外にどんな理由があるのでしょうか。
貴重な山林へ外国資本の進出
そのひとつとして囁かれるのが、外国資本の進出です。
中でもめざましいのが中国資本で、その目的は日本の水資源の確保だといいます。
中国資本が日本の水資源を手に入れるために森林を買っているのです。
世界の水資源が逼迫する中で、早めに良質な水源地を確保しようという動きは各国で見られます。
林業は長引く不況で低迷し、山林を管理できなくなった持ち主が山林を手放したがる傾向にあります。
しかし、売りたくても資産価値のない山林は簡単に買い手がつきません。
それを外国資本が買ってくれるのですから、売り手は喜んで手放します。
こうして日本の貴重な山林が静かに外国人の手に渡っているのです。
山林売買の実態把握は難しい
山林売買の話などまったくなかった山村に、ある日突然東京から不動産会社の仲介者がやってきて売買の話を持ちかけます。
いずれも共通点はひと山全部欲しいというものですから、売り主にとってこれ以上の好条件はありません。
仲介者は買い主のことも購入目的もほとんど明かさないのですが、外国資本が関わっていると地元で噂になることも多いようです。
しかし山林購入のすべてが外国資本というわけではなく、日本人投資家による購入も少なくありません。
しかし、これらの事象は関係者の間や地元で話題になるものの、正確な実態はつかみにくいのが実情です。
山林がはぐくむ水資源は、国民の暮らしのためになくてはならないものであり、国の重要な基本インフラです。
山林の地籍は6割が未調査
現在、1ヘクタール以上の山地や農地の売買は国土利用計画法により都道府県知事に届け出ることが義務付けられていますが、その内容は個人情報であるため公開されておらず、個々の山林売買を調査するには不動産登記簿を1件ずつ当たるしかありません。
さらに、国土管理の基礎となる地籍調査は国土面積の48%しか行われておらず、特に山林では6割が未調査のままです。
このため、登記簿に記載された面積や境界線もどこまで信用できるかわからないという現実があります。
これに加えて相続時の名義変更漏れも多く、また意図的に架空の会社名を記載するケースもあります。
農地は農地法による転売規制がありますが、山林にはそういった規制がなく売り手と買い手の合意だけで売買できることから、ブローカー的な仲介者が暗躍できる余地があり、それが外国資本の進出を許す原因ともなっています。